ワンピース ポートガス・D・エースに起きた出来事の意味を考える

2010年08月19日

タイトルのとおりです。。

以下は、ジャンプ最新号の内容を含んでいます。
妄想もあります。ご注意ください。

■はじめに

ワンピースの物語の中で、しかも現在進行形で明確な「死」が描かれたのはエースが初めてだと思います。
(過去編では、ゾロのくいなやナミのベルメールさんなど、仲間の身近な人が亡くなってしまうことはありましたが。)
それまでワンピースでは「人は死なない」という事が定説みたいになっていた分、本当に悲しい出来事でした。

しかし、初めて描かれる明確な死がルフィの大切な兄である「エース」だった・・・
なぜ、エースでなければならなかったのか・・・

ルフィが強くなるためにはエースの死が必要だった・・・・
それもあるとは思うのですが、きっとそれだけではない大きな意味があるのだと思います。

■ルフィとロジャーが同じ空気を持つ理由

これまでルフィと出会った人達は、ロジャーと似たものを感じていることが多いです。
実際にロジャーと関わりのある人のほとんどはルフィにロジャーを重ねていると言ってもいいかもしれません。
(まったく感じなかったのはバギーだけ・・・かな。。)

(スモーカー)11巻
22年前・・・!!
この町のあの処刑台で笑った
海賊王Gロジャーと同じように

(クロッカス)12巻
あいつらは・・・
我々の望んだ海賊たちだろうか・・・
なんとも不思議な空気をもつ男
なァロジャーよ

(ガンフォール)32巻
あの麦わらの小僧だが
かつてのロジャーと似た空気を感じてならぬ
"D"・・・成程名が一文字似ておるな!

(シャンクス)52巻
"東の海に・・・"
ロジャー船長と同じ事を言うガキがいたんだ・・・!!
船長のあの言葉を・・・!!

スモーカーは処刑台の上でロジャーと同じ「笑った」事をきっかけにルフィを追うようになります。
かつてロジャー一味の船医だったクロッカスはルフィの事を「不思議な空気を持つ男」と表現し、
ロジャーの待ち人であるかのように感じています。
ロジャーと空島で出会い友人となったガンフォールはロジャーと同じ空気を感じています。

そして、シャンクスはロジャーと同じあの言葉を言っていたとレイリーに伝えています。
(おそらくこの「言葉」がルフィに「次の時代を懸ける価値がある」と感じさせたのだと思います。)

ルフィがロジャーと似たものを感じさせるのは「Dの名」がそうさせているのだと思いますし、
大きな夢や強い意志のようなものが"海賊王"ロジャーと似たものを感じさせているのかもしれません。
ルフィが生まれながらにして持つ雰囲気がロジャーと似ているという事だと思いますが、
でも、きっとそれだけではないと思います。

ロジャーからエースを託されたガープは、そのエースとルフィをダダンの元で引き合わせます。
ルフィが7歳の時エースと出会い、エースが船出するまでの7年間は二人一緒に暮らし、同じ環境の中で育ちます。
エースを兄と慕いながら共に生きたルフィの7年間、
「海賊になること」「誰よりも自由に生きる事」そして「サボの件」、
同じ夢や出来事をエースと共有した時間が今のルフィのほとんどを形作っているはずなのです。

ルフィが"海賊王"ロジャーと似ているとされるのはその"エースの存在"と一緒に生きた7年間があったからこそで、
ロジャーの実子であるエースがルフィにロジャーの空気を吹き込んでいたのだと思います。

※ただし、シャンクスの「あの言葉」だけはルフィがエースと出会う前の話なので、
これはエースの影響を受けていないルフィ自身の言葉だと思いますが。

■エースの意志を継ぐ事、それはロジャーの意志を継ぐ事・・・

本来なら(普通の漫画なら?)、エースがロジャーの実子であると判明した以上、
海賊王の血を継いだ正当な後継者という意味で、エースが次の海賊王となるべきなのです。
白ひげがエースを海賊王に育てたかったように。

しかし、作者はそうしませんでした・・・
幼い頃兄弟の契りを交し、エースを兄と慕い目標とする弟のルフィを海賊王にしようとしています。

同じ戦場で戦死した白ひげはこんな言葉を残しています。

ロジャーの意志を継ぐ者達がいる様に
いずれエースの意志を継ぐ者も現れる…

この白ひげの言葉の中の、
ロジャーの意志を継ぐ者達はシャンクス、ドラゴンを含め22年間の処刑に立ち会っていた人たちを指し、
そして、エースの意志を継ぐ者はルフィ(麦わらの一味)を指しているのだと考えていますが、
エースの死によって、ロジャーの血縁が完全に途切れた事になります。

けれど、ルフィはそのエースと兄弟の契りを結んでいました。

エース亡き今、残されたルフィはエースの意志を継ぎ、これから自身の夢「海賊王」と、
エースが言った「お前の夢の果て」へ向かって進みます。

(エース)
心残りは…一つある
お前の…"夢の果て"を見れねェ事だ…
だけどお前なら必ずやれる…!!!
おれの弟だ…!!!

そしてエースの意志を継ぐ事は、ロジャーの意志を継ぐ事も意味しているのだと思います。

シャンクスの言っていたロジャーと同じ「あの言葉」、エースの言ったルフィの「夢の果て」、、
ルフィとエースの過去編で敢えて伏せられた「ルフィが語った夢」、
この3つの場面は繋がっているものだと思います。

シャンクス、ルフィが言ったロジャーと同じ言葉とは
シャンクスを驚かせた
ロジャーと同じあの言葉とは・・・
(52巻)

エースが見たかったルフィの夢の果て
エースが見たかった、
ルフィの夢の果て・・・
(59巻)

ルフィがエースとサボに語った夢
エースとサボに語ったルフィの夢には、
きっと夢の果てが含まれている
(60巻)

船長の"あの言葉"とはルフィの"夢の果て"であり、"ロジャーの夢"でもあった・・・
つまり、ルフィの"夢を果て"を叶えることは、ロジャーの"果たせなかった夢"を叶えることでもある・・・

ワンピースと言う物語の中盤で、ロジャーの実子でルフィの兄弟であるエースの死を介し、
ロジャーとルフィの夢を交錯させながら、ルフィを次の海賊王に・・・、
そして、"夢の果て"へ進ませようとしているのだと、そんな気がしています。

そして未来… いつの日か
その数百年分の"歴史"を全て背負って
この世界に戦いを挑む者が現れる…!!!

それに白ひげが言ったように、ロジャーの意志もエースの意志も今の世界との戦いであると・・・
これまでは麦わら一味の冒険が物語の中心になっていましたが、
エースの死によって、ルフィはロジャーとエースの意志(Dの意志)を背負い、
今の世界(世界政府)に戦いを挑んでいく事になると思います。

■"血縁"よりも"意志"が重要

エースとルフィはあくまでも義兄弟。ルフィはロジャーの意志を継いでも、血を継ぐ事はできません。
白ひげの最期の言葉の続き。

"血縁"を断てどあいつらの炎が消える事はねェ…
そうやって遠い昔から脈々と受け継がれてきた…

あいつらとは"Dの意志を継ぐ者たち"を指していると思います。
そして、血縁を断ってもその意志(炎)は消えないと白ひげは言います。

22年前のロジャーの処刑、そして今回のエースの死。
Dの名を持つ者たちが、今の世界を支配している世界政府によって滅ぼされる出来事は、
遠い昔から何度も繰り返されているようです。
きっとそれは、空白の100年が明けてから現在に至るまでずっと・・・
しかし、意志を托し、託されたものがまた他の誰かに意志を托し、消えることなく受け継がれてる・・・

上でも書きましたが、血縁が重要なら"エース"が海賊王になるべきで、
ワンピースもエースが見つけた方がいいはずなのです。

そうならなかったのは、ワンピースを巡る戦いが"血縁"ではなく"受け継がれる意志"に
基づいている事を印象付けたかった
、そんな意図もあるように思います。

(つまり、「D」とはクローバー博士の仮説に出てくる王国の子孫(末裔)ではなく、
あくまでもその王国の意志を継いだ者を意味する「名」ではないかという事だったり、
それに、おそらく血を重視する天竜人や貴族社会との対比だったり・・・。)

■ワンピースは意志と夢を繋いでいく物語だと思ふ

最後に、、私の中ではワンピースは人を意志と夢で繋いでいく物語だと感じているし、
一番のおもしろさもそこにあると思っています。

ゾロはくいなの意志と夢を背負って世界一の大剣豪になろうとしています、
サンジは自分の夢とゼフの夢を重ね、オールブルーを見つけようとしています、
ロビンはサウロとオハラの意志を背負って空白の100年の謎を解き明かそうとしています。

でも、ルフィには海賊王になる!という大きな夢はありましたが、
大切な人から受け継いだ意志はこれまでなかったように思います・・・

シャンクスから麦わら帽子を受け取りましたが、あくまでも立派な海賊になって再会するための約束であって、
明確な意志が込められているわけではないと思いますし。

仲間には過去に起きていた大切な人の意志や夢を受け継ぐプロセスがルフィの場合は現在で起きた・・・
エースの死は読者にとっても辛い出来事ですが、意志と夢を繋いでいくワンピースという物語の中で、
彼の死は必然だった・・・・・、そんな風に感じています。

と、いろいろ書きましたが・・・、物語としては必然だったとしても、
一ファンとしてはとても残念ですんなりと納得できないのも事実。。

本来少年漫画で「死」はあたりまえ、「死」そのもの自体に意味なんてないよと、
言われればそれまでなんですけどね・・・

長くなりましたが、ここまで読んでもらってありがとうございますm(__)m
内容がまとまれば、つづく・・・かもしれません。


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きっとタイトルの「One day」には、「One Pieceのおかげで今日(today)がある!」
って意味があるんだと勝手に思ってます。
熱いぜ!ルートレス!!
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ワンピース エースはどうして立ち止まってしまったんだろう…

2010年02月12日

以下、ワンピースのネタバレを含む内容ですので、ご注意ください。


どうして、エースは立ち止まってしまったんだろう…
『白ひげは"敗北者"』という言葉に…


--赤犬
 お前の本当の父親ロジャーに阻まれ
 『王』になれず終いの 永遠の敗北者が"白ひげ"じゃァ
 どこに間違いがある…!!
 オヤジオヤジとゴロツキ共に慕われて…
 家族まがいの茶番劇で海にのさぼり
 …何十年もの間 海に君臨するも 王にはなれず… 何も得ず…!!
 終いにゃあ 口車に乗った 息子という名のバカに刺され…!!
 それらを守るために死ぬ!!
 実に空虚な人生じゃあありゃあせんか?

正直なところを言えば、この赤犬の言葉の99%は正論だと思う。

なぜ、海賊たちの"親父"という存在で居続けるのか?
なぜ、海の王としていろんな島を守ろうとしているのか?

なぜ、頂点を目指さない。
なぜ、力がありながら他の四皇を倒そうとしない。
なぜ、ラフテルへ行こうとしない。
なぜ、白ひげは海賊王を目指さそうとしない。

この辺はずっと疑問でした。

個人的には大海賊時代を作ったロジャーの意志を継ぎ、新しい海賊を育てようとしていたと
思っていますが、それにしても"海賊としての野心"がなさ過ぎですよね。

自分を刺したスクアードを許す…
かつての宿敵の子を次の海賊王に育てようとする…

"親父"としての器はスゴイ…
けれど、"海賊"としては確かに敗北者かもしれない…

ただ、赤犬の最後のフレーズ、、

『実に空虚な人生じゃあありゃあせんか?』

これは違う!自分の夢を諦めたとしても、次世代に夢を託す。
十分いい人生じゃないか。。

どうしてエースは"敗北者"という言葉に立ち止まってしまったんだろう。

エースが立ち止まる 
あァァァ、なぜ…

ワンピース ポートガス・D・エースの本心

2010年02月03日

テーマは一応『ポートガス・D・エースの本心』ですが、
特に内容はまとまってませんのであしからず。。


今週号で、白ひげは自分の命を捨ててまでエースを助けようとしていることがはっきりしました。
エースが明るい未来につながると信じて、、

白ひげはエースを守り、未来の海賊王に育てようとしているという
センゴクの読みは まさに的中していたことにもなります。

ですが、ふと思うのはエース自身は『白ひげを海賊王にしたい』と考えていたことです。
(アラバスタでのルフィとの会話の中に出てきます。)

この言葉から白ひげも海賊王を目指しているとずっと思っていましたが、
その後の展開からはその姿は見えてきません。

浮かび上がってくるのは、現海賊たちの頂点に立ち、海の治安を守り、
次世代の海賊を育てるというまさに『オヤジ』的な姿で、
白ひげ自身からは一向に海賊王を目指すような意志は見えてきません。
(ジンベエから明かされた魚人島のエピソードが象徴的な話です。)

白ひげが海賊王を目指していないと思うのは、よく考えれば自分のライバルであった
ロジャーの称号を今さら欲しがるとは思えないというのもあります。
まして、白ひげとロジャーが同じものを目指していたならなおさらと思うわけです。

でも、エースはなぜか『白ひげを海賊王にしたい』と言う。

それは、自分の親父と認めた男への恩返しと考えたからなのか。

しかし、結果的にはエースは白ひげを、白ひげはエース『海賊王』にすると考えていたわけで、
この二人の思いは完全にすれ違っていたことになります…

う~ん、何かすっきりしません。。

そもそも、エースはなぜ海賊になったのか…?

これも疑問です。
ロジャーの事を大犯罪者と呼び、その血を引いていることを迷惑だとも言っているのに、
なぜ同じ道を歩もうとしていたのか。

ガープはエースもルフィも海兵に育てようとしていました。
でもそうはならなかった。

エースは犯罪者の血ゆえに、海兵になることを諦めて海賊になった?
ロジャーが悪なのか善なのか、同じ道を歩むことでその答えを見出そうとしたから?

前に一度書いたのですが、心の底では『ルフィを海賊王にしたい』と思っているのではと考えていました。

ルフィがエースと出会うのはシャンクスとの出会いの後、、
その頃、すでにルフィの夢は『海賊(王)になること』になっていたはず。

実の親がいないエースにとって、ルフィは唯一の肉親のような存在。
なら、そんな弟の姿を見て弟の夢を叶えてやりたい、
せめて先に自分が海賊になって ルフィの道を切り開いてやる!
と思うのは自然なのかな思います。

海軍に捕まったあとエースが最も恐れていたこと…

それは白ひげ達が助けに来る事、いやそれ以上に、
ルフィが来てその夢を自分がぶち壊してしまうことなのではと。。

話は戻りますが、
やはり『白ひげを海賊王にしたい』というエースの言葉は本心ではない
気がしてきます…
(白ひげに恩返ししたいという気持ちは当然あると思うけど。)

アラバスタでのエースとルフィの再会シーンを読み返すと…、
まずエースはルフィを白ひげ海賊団に勧誘していますよね。
エースはただ言ってみただけとごまかしていますが、ルフィの意志を再確認したとも受け取れます。
(お互いに本物の海賊になった後の初めての再会だから、敢えて今の意志を確認したかった。)

それに『白ひげを海賊王に…』に続けて、『ルフィ…お前じゃなくてな』”あえて”言ってます。

それにルフィは『だったら戦えばいい』というとエースは無言ですが、
なにか満足そうな顔をします。

そして、去り際のエースのセリフ、

『来いよ、高みへ』

今読み返せば、

 おれが先に"高み"へ行ってやる
 けれど、必ず追いついて来い
 そしておれを超えてみろよ


的な意味にも聞こえます。(まぁ勝手な妄想解釈です…)

シャンクスもルフィに懸賞金がついたときに、『きたか ルフィ』と言っていました。
エースもシャンクスと同じようにルフィを海賊王へ導く役割なのかなぁ。

もちろんそこには『ルフィVSエース』『ルフィVSシャンクス』のような真剣な戦いの場はあるかもしれません、、
だだ何よりもこの戦争でエースが助からないとダメなんですが…